カタンの生みの親クラウス・トイバー氏の逝去を受けて

    おはようございます。吉田です。バブです。
    本日記事にするのは、カタンの生みの親である、クラウス・トイバー氏が2023年4月1日に逝去されたことについてです。

    トイバー氏に対して深く哀悼の意を表します。
    数々の名作を世に送り出し、これからもまだまだ多くの作品を世界中のファンが氏の新作発表を期待していたと思います。70歳ということであまりに早いお別れにただただ心を痛めるばかりです。
    いつか実際にお会いして、「素敵なゲームを作ってくれてありがとうございます、あなたのお陰で人生が変わりました。」と直接お伝えしたかったです。

    目次

    カタンとの出会い

    私のカタンとの出会いは2012年の1月に出港したピースボート75回クルーズの旅の中でした。
    船の中で友人になった方が銀色の小さなキャリーケースを持っており、目を引いたことを覚えています。
    箱を開けてみると色とりどりのタイルやカード、並べてみると六角形のカタン島が出来上がります。
    初めて見る光景にとてもワクワクしました。
    ルール説明を聞き、手探りながらもダイスを振り、出目に一喜一憂したり、無茶な交渉をやってみたり、とってもエキサイトしていました。
    ゲーム終了時の盤面の写真を見てみても正しくルールを把握していなかったなとわかる内容で苦笑いをしてしまいます。

    ※余談ですが青のプレイヤーがあまりに負けているように感じられると思いますが、左上の何も建設されていないあたりの場所に青のコマが配置されていたのではないかと思われます。片付けの途中で撮影したのではないかと。

    カタンによって変化した性格

    今でこそイベント主催やボードゲームシェアハウスの運営などをしているので、私に対しての印象は社交的で友好的という印象を持っていただいている方もいらっしゃると思いますが、これはボードゲームを、特にカタンを通じて得た性格の一部です。
    当時は人と話すのが不得手だったと思います。ところがこのゲームは交渉の要素があり、黙って遊んでいてもなかなか思うようにゲームを進行することができません。
    必要な資源は他のプレイヤーと交渉により獲得していくことが必要なシーンが多々訪れます。黙っているわけにもいかず、ゲームルールに追われ一つ一つ交渉の提案をしてみると、またその一つ一つに返答が返ってきます。
    さくっとうまくいくこともあれば、どれだけ取引レートを破格にしても受け入れてもらえないこともあります。

    カタンは自分だけ利益を得ようという交渉はなかなか成立しません。
    全員が10点を目指しているからです。

    自分と相手にとって双方にメリットが生まれるような交渉が必要です。
    また、交渉のやり方も、ただはい、いいえを繰り返すだけではなく、なぜ交渉にのってもらえないのか、あるいは応じられないかを言語化したり、相手がどのように受け取るのか考えて話す必要があります。

    また、私はあまり好きな表現ではないですがヘイト管理という感情面を考慮したプレイも時には必要があったりします。上げだしたらきりがないですが、カタンにはただのサイコロを降って遊ぶゲーム、という以上にいろんな側面があります。

    その奥深さ、多様さに初プレイから10年以上立ってもただ舌を巻くばかりです。

    自由度の高さゆえの弊害

    私などはまだカタンを遊びだしてから10年そこらですが、販売されてから既に30年近くが経過しており、今でも多くの人を魅了してやまないこのゲームは今後もずっとファンを獲得していくことでしょう。
    また、私はカタンが好き!という意見を耳にする一方で、あまり自分には向かない、他のゲームのほうがより楽しい。という意見も時々きくことかあります。

    勿論ゲームの好みは人それぞれで好き嫌いはあって当然なのですが、あまり好きではない、という方に何故かと理由を伺ってみると、なるほどという答えが返ってきました。

    「自分が勝ってるわけではないのに邪魔されることがある。」
    「やりたくない交渉も強要される。」
    「交渉に乗らないと不機嫌になる人がいる。」
    「優勢になると全員から目の敵にされる。」

    などなどです。
    時々ツイッターでも話題に上がるキングメーカー問題などもカタンのルール上とても顕著に現れてきます。
    ※ここでいうキングメーカーとは、自分が肩入れしたプレイヤーを勝たせるためのプレイをすることをいいます。多くは一緒にプレイしているプレイヤーの不評を買いますが、キングメーカーとしては自分が絶対に勝てないと明白になった後でもそのゲームに付き合うのは苦痛でしかなく、早くゲームを終わらせてしまいたい。という真理が働いていたりするようです。

    確かにそういうプレイができることは確かです。
    私も勝った経験よりも負けた経験のほうが多いですし、一方的なゲームで為す術もなく終わってしまったこともあります。
    どんなにメリットを提示しても乗ってもらえない交渉もありますし、理不尽に足を引っ張られ続けることもあります。
    しかしこれはカタンのルールが悪いわけではなく、全て遊ぶ人のプレイングで左右される内容ではないでしょうか?
    先程まで上げてきたカタンを好きになれない理由はその行為をやる人がいなければ発生しません。
    やる場合にも納得いく説明があればのむことができます。
    そういったプレイヤーによって左右される領域が広いのがカタンの好かれる理由でもあり、敬遠される理由でもあると思います。

    全ては遊ぶ人たちに委ねられている

    それらを作者であるトイバー氏はわかってないはずはありません。

    だからこそ、『「また明日もあなたと遊びたい。」と、思われるプレイを心がけましょう。』と氏は仰ったのではないかと思います。氏が逝去されたと聞き、どのような言葉を残されているのか、少し調べて見ると、やはりゲームというよりも人生そのものにフォーカスした言葉がたくさん見受けられました。
    その一部をご紹介いたします。

    「ゲームは、人生の鏡である。勝つこともあれば負けることもある。しかし、最も大切なのは楽しむことである。」
    「人々をつなげ、創造性を促進するゲームを作りたい。」
    「人生のゲームに勝つには、健康であること、そして楽しむことが重要です。」
    「ゲームは、人々が一緒に楽しみ、学び、成長するための素晴らしい手段です。」
    「人々が集まり、一緒に遊ぶことで、新しい友情やコミュニティが生まれます。」
    などなどです。

    ゲームを通じて人生をより豊かに、楽しいものにしてほしいという氏の思いを感じることができます。
    一緒に遊ぶ仲間がいてこそどんなゲームもより楽しく遊ぶことができます。
    カタンが名作であることは今更疑う余地はありませんし、多くを語る必要もないでしょう。
    私はこれからもトイバー氏の思いをしっかりと胸に刻み、沢山の人とまた明日も一緒に遊びたい。と思われるようなボードゲームプレイを心がけていきたいですし、そんなプレイヤーが増えていくように発信していくと思います。

    トイバー氏の訃報に触れて私のお話させていただきましたが、改めて最後に最大限の感謝と敬意を尊敬の念をもって氏のご冥福をお祈りさせていただきます。

    お読みいただきありがとうございました。

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