ボードゲームイベントでのルール説明②初プレイは一生に一度しかない


    目次

    初プレイは一生に一度しかない

    前回の記事では、ボードゲームイベントで私がルール説明をする時に気を付けていることについて書きました。

    ▼前回の記事 【ボードゲームイベントでのルール説明① 初心者の楽しみを奪わないために

    今回は少し視点を変えて、

    【なぜ私はそこまでルール説明にこだわるのか】

    について書いてみようと思います。

    ルール説明の方法論というよりは、自分なりの考え方や想いに近い内容です。

    当たり前の話ですが、そのゲームを初めて遊ぶ体験は一生に一回しかありません。

    二回目以降は、もう初プレイではありません。

    どれだけ面白いゲームだったとしても、

    ・初めてカードを引いた時のワクワク
    ・初めてルールを理解した時の驚き
    ・初めて勝った時の嬉しさ
    ・初めてコンボに気付いた時の興奮

    などなど、これらは二度と戻ってきません。

    だから私は、その人の人生で一度しかない初プレイをかなり大切にしています。


    ルール説明の前に少し雑談をする理由

    私は、いきなりルール説明を始めることがあまりありません。

    例えば、

    『今からみなさんは森の住人になります』

    だったり、

    『実はこのゲーム、日本人として初めて〇〇賞を受賞した作品なんです』

    だったり。

    ゲームによって話す内容は変わりますが、まずはできるだけゲームの背景や世界観についてプレイヤーに伝えるようにしています。

    ルールを理解する上では必須ではありません。

    でも、自分にとっては結構大切な時間だったりします。


    本編前のCMみたいなもの

    イメージとしては映画の予告編に近いかもしれません。

    これから始まる体験に対して、

    『なんか面白そう』

    『早く遊んでみたい』

    と思ってもらうための時間です。

    遠回しに言うと、

    『今からあなたが遊ぶゲーム、とても面白いですよ。期待していてくださいね』

    というメッセージです。

    実際、同じゲームでも何も知らずに始めるのと、

    『そんな背景があるんだ』

    と思いながら始めるのとでは、体験そのものが変わることがあります。

    せっかくなら最高の状態でゲームと出会ってほしい。

    そんな気持ちがあります。


    ルール説明には責任がある

    私はルール説明という行為には、結構大きな責任が伴うと思っています。

    例えば本当はすごく面白いゲームなのに、

    ・説明が難しかった
    ・専門用語ばかりで理解できなかった
    ・何をしているのか分からなかった
    ・周りに迷惑をかけてしまった気がした
    ・置いていかれたように感じた

    そんな体験になってしまうことがあります。

    そしてその結果、

    『あのゲーム、あまり面白くなかった』

    と思われてしまうこともある。

    でも、それは本当にゲームが悪かったのでしょうか。

    もしかしたら、そのゲームとの出会い方が良くなかっただけかもしれません。

    そう考えると、ルール説明をする人間には結構大きな責任があると思うんです。

    参加者に対しても。

    そして、そのゲームを作った作者に対しても。


    作者から受け取ったバトン

    実は私も、ボードゲームを作ろうとしたことがあります。

    『いつか自分でも面白いゲームを作ってみたい』

    そう思ってルールを考え、試作品を作ったこともありました。

    実際に社会問題をテーマにしたゲームを作ろうとして、見事に挫折したこともあります。

    実際に社会問題をテーマにしたボードゲームを作ろうとして挫折したこともあります。

    その時の話は別の記事にまとめていますが、あの経験があったからこそ、今世の中に出ているボードゲームの凄さを実感しています。

    ▼社会問題をゲームで解決したいと思って、ボードゲームを作ろうとして挫折した話
    https://bab-boardgame-club.com/socialissues/

    でも、これが本当に難しい。

    自分では面白そうだと思っていたアイデアが、実際に遊んでみると全然盛り上がらない。

    少し直しては遊んで。

    また直しては遊んで。

    それでも納得できるものにはならず、結局私はゲームを完成させることができませんでした。

    その経験があるからこそ思うんです。

    世の中に出ているボードゲームって、本当にすごいなと。

    何度もテストプレイを重ねて、

    ルールを磨いて、

    遊びやすさを調整して、

    ようやく一つの作品として世に送り出されている。

    私自身、一度挫折しているからこそ、自分が納得できる作品を完成させることの大変さが少しだけ分かります。

    だから私は、ゲームを作った作者のことをとてもリスペクトしています。

    もちろん全員がそのゲームを好きになる必要はありません。

    好みはあります。

    でも、

    『ちゃんと魅力が伝わった上で好きになれなかった』

    のと、

    『魅力が伝わる前に終わってしまった』

    のでは全然違うと思っています。

    だからルール説明をする時は、

    【作者から受け取ったバトンを次の人に渡している】

    ような感覚になることがあります。


    ボードゲームを好きになるきっかけになりたい

    ありがたいことに、

    『バブさんのおかげでボードゲームが好きになりました』

    と言っていただけることがあります。

    また、

    『バブさんに紹介されて遊んだゲームを、そのまま買いました』

    なんて言われることもあります。

    その言葉を聞くたびに思います。

    あの日の初プレイが、その人にとって良い体験だったんだなと。

    そして、そのゲームとの出会いが、その人の人生の中に残ったんだなと。

    もちろん、それは私がすごいわけではありません。

    ゲームそのものが面白いからです。

    でも、その言葉をいただくたびに思うんです。

    ルール説明って、ただルールを伝える作業じゃないんだなと。

    その人とゲームとの出会いを作る仕事なんだなと。

    もしかすると、その人がボードゲームを好きになるきっかけになることもある。

    もしかすると、その人が今日遊ぶゲームを一生遊ぶことになるかもしれません。

    そう思うと、やっぱり手を抜けません。

    ボードゲームイベントを続けている理由のひとつも、きっとそこにあります。

    だから私は、これからも初プレイを大切にしたいと思っています。


    『今日から人生変わりますよ』

    ボードゲームイベントで、

    『今日初めてボードゲームを遊びます!』

    という方が来ると、私はよくこんなことを言います。

    『今日から人生変わりますよ』

    もちろん、冗談っぽく笑いながら言っています。

    でも実は、結構本気で言っています。

    なぜなら、私自身がそうだったからです。

    ボードゲームに出会って、

    夢中になって、

    気付けばイベントを開くようになって、

    今ではボードゲームが仕事になりました。

    そして今は、

    【ボードゲームを通じて、またあなたと遊びたいと思える人間関係を増やしたい】

    ということを、自分の人生のミッションのひとつにしています。

    あの日、何気なくボードゲームに出会っていなかったら、今の私は存在しません。

    もちろん、全員の人生がそこまで変わるとは思っていません。

    でも、

    新しい趣味になるかもしれない。

    一生付き合える友人ができるかもしれない。

    人生を変えるゲームに出会うかもしれない。

    そんな可能性は確かにあると思っています。

    だからこそ、たった一度しかない初プレイを大切にしたい。

    せっかくの出会いを、味気ないものにしたくない。

    『よく分からなかった』

    で終わるのではなく、

    『面白かった!』

    『また遊びたい!』

    と思ってもらいたい。

    ボードゲームに人生を変えてもらった人間だからこそ、そう思うのかもしれません。


    ルール説明はゲームの入口

    私は、ルール説明は説明作業ではなく、

    【ゲームの入口】

    だと思っています。

    入口が分かりやすければ、その先の景色を楽しむことができる。

    入口で迷子になれば、その先の魅力に辿り着けないこともある。

    だからこそ、

    できるだけ分かりやすく。

    できるだけ楽しく。

    できるだけゲームの魅力を損なわないように。

    ルール説明をしたいと思っています。


    おわりに

    そのゲームを初めて遊ぶ体験は、一生に一度しかありません。

    もしかしたら今日遊ぶゲームが、その人にとって人生を変える一作になるかもしれない。

    そう思うと、やっぱりルール説明には手を抜けないんです。

    だから私は今日も、

    『このゲーム、面白かった!』

    と思ってもらえるように。

    そしてできれば、

    『また遊びたい!』

    と思ってもらえるように。

    その人にとって一生に一度しかない初プレイが、素敵な思い出になることを願いながら。

    ▼前回の記事

    ボードゲームイベントでのルール説明①
    初心者の楽しみを奪わないために

    初心者と経験者が同卓するイベントで、
    私がルール説明をする時に気を付けていることをまとめました。

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