ボードゲームイベントでのルール説明①初心者の楽しみを奪わないために

    ボードゲームイベントでのルール説明で大事にしたいこと

    先日Xで、

    『ルールは教えて欲しいけど、
    勝ち方は教えて欲しくない』

    という投稿を見かけました。

    読んだ瞬間、

    「めちゃくちゃ分かる!」

    と思ったんですよね。そういうところからブログを書いてみようと思いました。

    今回の記事は続き物として書いています。まず1つ目の記事として、実務編です。後日あげる記事は思想編としています。

    実務編の中でも、ルール説明の技術、配慮の部分と、ボドゲイベントでの卓マネジメントの部分があります。

    後者はボドゲイベント主催者の目線で書いております。

    まずはルール説明の技術、配慮の部分からです。

    目次

    ~初心者の「発見の喜び」を奪わないルール説明のコツ~

    ボードゲームを遊ぶとき、よく話題になる「ルール説明」。

    私は昔から、

    「ルールを教えてほしいのであって、勝ち方を教えてほしいわけじゃない」

    と思っています。

    でも実際には、
    ルール説明の中で「このカード強いですよ」「まずこれを取るのが定石です」など、攻略情報まで一緒に説明される場面って結構ありますよね。

    もちろん悪気があるわけではなく、

    「初心者が困らないように」

    という善意から来ていることがほとんどです。

    ただ、ボードゲームの醍醐味って、

    • 自分で考えて
    • 試行錯誤して
    • 「これ強いじゃん!」と気づく

    あの瞬間の脳汁だと思うんです。

    だからこそ、最初から最適解を教えすぎると、一気に味気なくなってしまう。

    今回はそんな
    「初心者の発見の喜びを奪わないルール説明」
    について、実際にイベント運営をしている立場からまとめてみます。

    純粋な初心者にルール説明するとき

    このケースが一番多いですよね。

    ここで大事なのは、

    「ルールだけを、面白さを殺さない形で伝える」

    ことです。

    まず最初に「何をしたら勝ちなのか」を伝える

    これは超重要。

    例えば、

    • 「このゲームは最終的に一番ポイントが高い人の勝ちです」
    • 「〇〇を達成したら勝ちです」

    など、ゲームの目的を最初に共有する。

    これが分からないまま説明を聞くと、

    「何のためにこの行動をするの?」

    がずっと曖昧なままになってしまいます。

    次に「ゲーム全体の流れ」をざっくり説明する

    • ターン制なのか
    • 同時進行なのか
    • 何ラウンドあるのか
    • どうやって終了するのか

    など、まずは全体像を掴んでもらう。

    細かい例外処理は後回しでOKです。

    「まずは1ターンの流れだけ掴んでもらえれば大丈夫です!」

    と一言添えるだけで、初心者の安心感はかなり変わります。

    「できること」を説明する

    でも、「強い行動」は教えすぎない

    ここが一番大事。

    カードの種類やアクションの内容は説明する。

    でも、

    • 「このカードが強い」
    • 「このコンボが定石」
    • 「最初はこれを取るべき」

    までは言わない。

    例えば、

    OK

    「このカードは〇〇すると追加点が入ります」

    NG

    「このカードが最強なので最初に取るのが定石です」

    初心者が、

    「これ組み合わせたらヤバくない!?」

    と自分で発見する瞬間を残してあげたいんです。

    「発見の余白」を残す言い回しを意識する

    例えば、

    良い例

    「色んな組み合わせができるゲームですよ」

    悪い例

    「この2枚のコンボが一番強いです」

    経験者はつい答えを言いたくなる。

    でも、その答えを見つける過程こそがゲームの楽しさだったりします。

    説明は短めに。プレイしながら補足する

    初心者は、長時間説明を聞き続けるだけでかなり疲れます。

    理想は、

    5〜10分くらいで一旦プレイ開始すること。

    細かい部分は遊びながら補足した方が、圧倒的に理解しやすいです。

    「分からないところが出てきたら、その都度聞いてくださいね!」

    と言っておくと、心理的ハードルも下がります。

    初心者と経験者が同じ卓にいる場合

    こういうケースもたくさんありますよね。

    そういう時にどう立ち振る舞うのかが大切です。

    最初に「今日はどう遊ぶか」を共有する

    かなり大事。

    例えば最初に、

    「今日は私からはまずルールだけ説明します!
    勝ち方や定石は、ぜひ遊びながら探してみてください!」

    と宣言する。

    これだけで、経験者の接待アドバイスをかなり防げます。

    経験者の『つい教えたくなる』問題

    これ、あるあるです(笑)

    説明中に補足したくなったり、

    「いやその動き弱いよ!」

    と言いたくなったりする。

    でも、それを全部言ってしまうと、初心者は『自分で考えるゲーム』ではなく『正解をなぞるゲーム』になってしまう。

    なので、

    • 「ルール確認だけにしましょう!」
    • 「戦略は一旦ナシで!」
    • 「まずは自由にやってみましょう!」

    と軽く方向性を共有しておくのがおすすめです。

    もちろん経験者が勝ちやすくはなってしまいますが、だからと言って最初から経験者と同じような思考を巡らせることは難しいので、勝敗に関してもある程度経験者が有利ではある、けど体験価値を損なわないようにしてますよと、自然にフォローしておけるといいと思います。

    「初心者への配慮」だけでは卓は成立しない

    ここまで読むと、

    「初心者の発見を守ることが最優先!」

    という話に聞こえるかもしれません。

    でも、イベント運営をしている立場としては、実はそれだけでは卓は成立しないとも感じています。

    なぜなら、初心者だけでなく、経験者も同じ参加費を払って遊びに来てくれているからです。

    ここからはボドゲイベントでの卓マネジメントの部分になります。

    経験者側にも「楽しく遊びたい」という気持ちがある

    経験者の中には、

    • 初心者と遊ぶのが好き
    • 教えるのが好き
    • 成長を見るのが好き

    という方もたくさんいます。

    ただ一方で、

    「相手が弱すぎるとゲームとして楽しめない」

    と感じる人がいるのも自然なこと。
    これはボードゲームだけじゃなくて、スポーツでも何でも同レベル帯の人と競ってこそ楽しめるものではないでしょうか。

    これは決して冷たい話ではなく、
    ゲームという対戦・競争・思考の遊びである以上、当然の感覚でもあります。

    だからこそ運営側は、

    • 初心者の楽しさ
    • 経験者の満足度

    この両方を考える必要があります。

    経験者に運営役を押し付けすぎない

    イベントでは、ルール説明後に運営の都合上ルール説明をした人が卓を離れることがあります。

    そうすると途中でルール質問が出た時、

    「経験者に聞いた方が早い」

    という状況が自然と発生します。

    もちろん、快くフォローしてくれる経験者の方も多いです。

    ただ、それが続きすぎると、

    「自分は遊びに来たのに、ずっと運営補助をしている…」

    という状態になってしまうこともあります。

    特に私のルール説明はあまり長くなりすぎないようにして、遊びながらルールを把握してもらうような作りにしているので、自ずとゲーム中に補足で付け足していく形になります。

    例えば、テラフォーミングマーズのようなユニーク(カードの効果がそれぞれ違う)要素があるゲームだと、ゲームのシステムやアイコンの見方は説明しますが、一枚一枚カード効果までは全部は説明しないですよね。それだけでイベントが終わってしまいます。笑

    だから、ゲーム途中で、「これってどういうこと?」という質問が出るのは当然です。説明してないんですから。

    必然的に確認するタイミングは訪れるわけです。

    この時の回答を経験者に任せっぱなしにすると、経験者側の満足度は下がってしまいます。

    質問されると「あ、次の手はこういう手くるんだろうな。」

    と意図も透けてしまうため、自然と対策もとれてしまいます。

    「わかってるよ〜」に甘えすぎない

    経験者の中には、

    「初心者卓だし全然フォローするよ!」

    と言ってくれる方もいます。

    本当にありがたい存在です。

    でも、より満足度の高いイベントを目指すなら、

    経験者の善意を前提にしすぎない

    ことも大切だと思っています。

    例えば運営側が、

    • できるだけ質問対応に入れるようにする
    • 経験者がプレイに集中できるようにする
    • 卓の様子を定期的に見に行く

    など、環境を整える意識を持つ。

    これだけでも、経験者の負担感はかなり変わります。

    後述しますが、わたしはできるだけイベント中は手を開けていて用がある時に呼んでもらえるようにしています。

    「惨敗防止」と「発見の喜び」のバランス

    とはいえ、

    何も分からないままボコボコに負けて、

    「もう二度とやりたくない…」

    となってしまうのも悲しい。

    ここは本当にバランスが難しいところです。

    なのでプレイ時間が長いゲームでは、

    • 「初手で詰むレベルのミス」
    • 「何もできなくなる行動」

    だけは軽く伝える場合もあります。

    ただしポイントは、

    「強い行動」を教えるのではなく、
    「致命傷だけ避ける」

    に留めること。

    勝ち方は教えない。でも少し下駄を履いてみる提案もしたりする

    これは個人的によく有効だと感じる方法です。

    経験差が大きく出るゲームの場合、

    • 初心者だけ初期リソースを少し増やす
    • 最初の数ターンだけ補助に入る
    • 事故を防ぐ最低限の保険をつける

    など、初心者サポートをつけることがあります。

    もちろん、プレイヤー本人の意向確認や他の同卓する経験者の同意は大前提です。
    自力でやりたい!という方は大いにやっていただきましょう!
    うちでやってる時の経験者の反応も概ね良好です。
    初回プレイというのは手探りということもわかっているのである種ハンデをつけることで、「最初は接待をして〜」という遠慮はせずに、経験者のプレイ体験も損なわず遊んでもらえます。

    以下にウイングスパンを元に具体例の提示をします。
    知らない方読み飛ばしてください。

    通常の場合
    【初期手札5枚、初期エサ5種類の合計10リソースから、5つを選択し、残りは捨て札(あるいは共通在庫に戻す)にして、スタート(大洋の翼拡張を入れると選択したのちに花蜜を1つ受け取る)】というルールですが、

    ハンデ有りの場合
    【初期手札5枚、初期エサ5種類の合計10リソースでスタートする(花蜜も受け取る)】

    という内容です。

    作り込まれているゲームというのは、カード同士の相互作用がめちゃくちゃ織り込まれているので、この程度のハンデでは大体経験者が勝ちます。

    ただ、こうすることで、戸惑いがちな初心者でも「リソースもあるし、まずやってみるか!」という動機づけにもなりますし、経験者は「ハンデあるからあんまり遠慮しなくて良さそうだな」という気軽さがでてきます。

    よければ一度試してみてください。

    さて、話を戻しますが、

    「勝ち方は教えない」
    「ただし、最低限ゲームになる環境は整える」

    という考え方は、初心者の体験を守る上でかなり有効だったりします。

    ゲームによってその下駄が必要なものもあったりなかったりもしますが、基本的にはプレイ時間の長いゲームで経験者と初心者が同卓しているほど最初のプレイにはそういった心配りは有効かなと思います。
    短い時間で遊べるゲームはどんどん遊んでもらって経験値を積んでもらったら経験者と初心者のギャップはみるみる埋まっていきます。

    プレイ後の振り返りが最高に楽しい

    個人的には、ここが一番好きです。

    ゲーム終了後に、

    • 「そのコンボ面白かった!」
    • 「実はこういう戦略もあったよ」
    • 「自分はこう考えてた」

    みたいな話をする。

    これって、初心者にとっても

    「次はもっと上手くやれそう!」

    という楽しさに繋がるんですよね。

    答え合わせは、ゲーム後だからこそ面白い。

    最後に

    ボードゲームのルール説明って、

    単に「正確にルールを伝える作業」じゃないと思うんです。

    そのゲームの面白さを、

    「どうすれば一番楽しく味わってもらえるか」

    を考える、プレゼンに近い。

    だからこそ、

    • どこまで説明するか
    • どこを敢えて説明しないか
    • 誰にどんな配慮をするか

    も、実はかなり大事。

    初心者の「発見の喜び」を守ること。
    経験者の「ゲームとしての楽しさ」を守ること。

    その両方を大切にできると、卓の満足度はグッと上がる気がしています。

    もし次にあなたがルール説明をするとき、

    「このカード強いですよ!」

    と言いたくなったら、

    一度だけグッとこらえてみてください。

    その発見は、きっとプレイヤー自身が見つける喜びだから。

    そしてその瞬間こそが、
    ボードゲームの最高に楽しい瞬間なのかもしれません。

    補足

    今回は、ボードゲームイベントで私がルール説明をする時に気を付けていることを書いてみました。

    正直なところ、考えすぎかもしれません。そんなことまで考えなくていいよ!という声が聞こえてきそうです。

    でも私は、

    • 初心者の発見の喜び
    • 経験者の満足度
    • 卓全体の空気

    このあたりをかなり大切にしています。

    ただ、そもそもなぜそこまでルール説明にこだわるのか。

    実はルール説明に入る前の導入にも、自分なりの考えがあります。

    次回は、

    【私がルール説明を大切にしている理由】

    について書いてみようと思います。

    ゲームの世界観や背景を話す理由。

    初めて遊ぶ体験を大切にしたい理由。

    そして、ルール説明という行為に感じている責任について。

    思想編の話になりますが、興味があればぜひ読んでいただけると嬉しいです。

    ▼続編はこちら

    ※まだ記事をアップしていません。6/2に投稿予定です。

    ボードゲームイベントでのルール説明②
    初プレイは一生に一度しかない

    なぜ私がそこまでルール説明にこだわるのか。
    初プレイへの想いや、ゲームとの出会いについて書きました。

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